室生朝子(むろう・あさこ) 1923年室生犀星(略歴は『室生犀星句集』のページに掲載)の長女として東京に生る。女学生の時母とみ子が病に倒れ、以後結婚生活で家を離れた数年を除き、約20年間介護に当る。また犀星の東京馬篭、夏の軽井沢での生活にもよく連れ添う。自ら兄弟がモデルとなった『杏っ子』がきっかけで執筆活動に入り、父譲りの豊かな感性を生かした『母そはの母』や『晩年の父犀星』など味わいある随筆を多く生んだ。また犀星没後は犀星の母親探しや、詳細な年譜の編纂に努め、後生に残す仕事に力を注いだ。弟朝見(あさみ)氏が早く亡くなったため、長女の洲々子(すずこ)氏(現在室生犀星記念館名誉館長)を養女に迎えた。2002年逝去、享年78歳。
心にしみる味の数々
父犀星が好んだ味。母の得意料理。室生家の食卓が、旅で出会った味が、こまやかに甦る珠玉随筆集。